スウェーデンの乳がん啓発月間[ピンクリボン]

スウェーデン

こんにちは、suzukaです。

皆さんは毎年10月がピンクリボン月間と呼ばれる、乳がん啓発月間であることをご存知でしょうか。

日本で2019年に乳がんだと診断されたのは97,812人(男性670人、女性97,142人)、2020年の乳がんを原因とする死亡数は14,779人(男性129人、女性14,650人)です。(参照 がん情報サービス : がん種別統計情報 乳房

スウェーデンで2020年に乳がんだと診断されたのは7,628人(男性58人、女性7570人)、同年には乳がんが原因で1,395人の女性が亡くなっています。(参照 Cancerfonden : Statistik bröstcancer

母数が異なるのでスウェーデンでは少ないように思われますが、それでも74歳以下の女性で約9人に1人が乳がんに罹患しています。

本記事では、まずピンクリボンとは何か、スウェーデンでどのような団体が乳がん啓発活動を行っているのか、スウェーデンでの乳がん検診についてもご紹介します。ぜひご覧ください。

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ピンクリボンとは

ピンクリボンとは、乳がんの正しい知識の普及、乳がん検診の早期受診を推進する乳がんの啓発活動のことを指します。

1980年代にアメリカで乳がんで亡くなった患者の家族が、「このような悲劇が繰り返されないように」という想いでピンク色のリボンを作ったことが由来していると言われており、毎年10月を乳がん啓発月間またはピンクリボン月間として世界各地で啓発活動が行われています。

ピンク色のリボン、すなわちピンクリボンは乳がん啓発のシンボルとされ、ピンクリボンの商品を販売、その売り上げを啓発団体や研究団体に寄付するなどの取り組みが多く見られます。

日本でもピンクリボンフェスティバルという大規模な啓発キャンペーンが開催されていたり、主に乳がんの啓発活動を行っている認定NPO法人J.POSH という団体は情報提供のみならず助成金の支給など幅広く活動を行っているようです。

日本最大のアウェアネス・リボン専門店で、ピンクリボンが取り扱われています。

乳がん以外にも人種差別、子宮頸がん、自閉症、ダウン症、ウクライナ、LGBT+などの支援表明となるそれぞれデザインの異なるリボンが揃えられているので興味のある方はご覧ください。利益の一部は支援団体に寄付されるようです。

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スウェーデンの乳がん啓発月間

スウェーデンでは乳がん啓発月間をRosa oktober(ピンク色の10月)としても知られています。

個人や企業、団体として様々な方法で乳がん啓発月間に貢献することができますが、その中でもピンクリボンを購入することによる寄付活動が盛んです。

スウェーデンでは二つの団体を中心に、二種類のピンクリボンが販売されています。

Bröstcancerförbundet(乳がん組合)

今年2022年に設立40周年となったBröstcancerförbundetは、乳がんに特化した組合です。

誰も乳がんに苦しまないようにするという目的を達成するため、乳がん研究への財政援助や乳がんに罹った患者へのサポート活動などを意欲的に行っています。

この組合のピンクリボンは1994年から販売されているものと同じ、ピンクの単色でシンプルなもの。

乳がん組合のピンクリボンの売り上げは、乳がん研究のために寄付されます。

ホームページ Bröstcancerförbundet

2022年は以下の店舗が協賛しており、こちらでもピンクリボンを購入することができます。

多くの店舗やオンラインストアで、ピンクリボン以外にも対象商品の一部の売り上げが寄付されるというキャンペーンが行われています。

提携している乳がん団体は現在32ヶ所あり、乳がん啓発活動や会員向けにアクティビティーを実施するなど地域での活動が見られます。

Cancerfonden

Cancerfondenは、1950年代に国内でがんの早期発見が困難であったことが設立の発端です。

スウェーデンでがんで苦しむ人を減らし、より多くの人が生き延びることを目的として、がん研究への財政援助や知識の普及などの活動を行っています。

そして今年で14年目、スウェーデンのヴィクトリア王太子は乳がん啓発月間の期間限定でCancerfondenピンクリボンキャンペーンの奨励者に着任しました。(参照 Kungahuset : Kronprinsessan beskyddare av Rosa Bandet

毎年ピンクリボンとブレスレットのデザインは異なり、2022年度は母を乳がんで亡くしたEmma Örtlundがデザインしたものです。

2022年度とそれ以前にデザインされたピンクリボンとブレスレットならびにEmma Örtlundのストーリーは以下のリンクでご覧になれます。

Cancerfonden : ”Alla kan göra något nu!” – Emma Örtlund

ピンクリボン1つ(50kr)につき45kr、ブレスレット1つ(100kr)につき94.5krが、がん研究のために寄付されます。

ホームページ Concerfonden

2022年は以下の店舗が協賛しており、こちらでもピンクリボンを購入することができます。

多くの店舗やオンラインストアで、ピンクリボンとブレスレットに加えて対象商品の売り上げの一部が寄付されるというキャンペーンも行われています。

ICAはスウェーデン大手の食料品チェーン店、Lindexは大手のアパレルチェーン店。普段の買い物で多くの人が乳がん啓発月間について知るきっかけとなりそうです。

ICAはピンクリボンをSwishで他の人にプレゼントできるシステムも導入しています。

Swishというスウェーデンの電子支払いサービスを利用して他の人にピンクリボンを購入すると、プレゼントを貰った側は自身でICAの店頭にリボンを受け取りに行くことができます。

2017年にはApotek Hjärtatは特に男性を対象としたピンク色のシェービングクリームを販売して、売り上げの一部を寄付する試みを図りました。(参照 Apotek Hjärtat : Raka dig rosa i oktober och stöd svenska cancerforskning!

乳がんに罹りやすいのは女性ですが、男性にも目を向けてもらう良い機会ですね。

そしてCancerfondenとスウェーデン各地にある美術館との協賛で、対象の美術館に指定された日に今年度デザインされたブレスレットを提示すると入館料が無料になるというキャンペーンも実施されています。(参照 Cancerfonden : Kultur mot cancer ger gratis inträde under Rosa Bandet-kampanjen

その他

国全体で乳がん啓発月間を盛り上げている様子が伺えますが、もちろん国内で小さな規模での啓発活動も見られます。

私が乳がん啓発月間に興味を持った理由は、友人からの話でした。

彼女が通っているスウェーデンの大学で乳がん啓発のイベントがあるというのを聞き、この記事を執筆するに至ったのです。

その大学では、複数の女性団体が中心となって、フィーカ(コーヒーやお菓子など)を大学敷地内で販売するなどして、得た利益をCancerfondenに寄付することにしています。

その他にも、ピンクリボンを模した陶芸品を購入する、ネイルサロンでピンク色のネイルを注文する、などのアクションを起こすと、その売り上げの一部が寄付されるというようなキャンペーンを実施している店も多くあるようです。

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スウェーデンの乳がん検診

スウェーデンでのマンモグラフィ検査による乳がんの定期検診は、

40歳〜74歳の女性を対象 1.5年〜2年おき

対象者になると、自宅に受診票が届きます。

検診は本人の自由意志によるもので、料金は無料です。(参照 Vårdguiden 1177 : Mammografi

ストックホルム在住者向けの情報には、もし自分でしこりを見つけた場合や胸に違和感を感じた場合は、かかりつけの医師またはbröstcentrum(乳がん専門医)に連絡をして、マンモグラフィ検査が必要であるかどうかを検査してくれるようです。(参照 Vårdguiden 1177 : Screening för tidig upptäckt av bröstcancer med mammografi

日本では、40歳以上の女性は2年1回、問診とマンモグラフィ検査が推奨されているので、乳がん検診についてはスウェーデンとさほど大きな差はないと言えるでしょうか。

女性特有の病気には乳がんに合わせて特に子宮頸がんも挙げられますが、スウェーデンでの細胞診検査による子宮頸がんの定期検診は以下の頻度で自宅に受診票が届きます。

23歳〜50歳の女性は3年〜4年おき
50歳〜70歳の女性は5年〜7年おき

乳がんの定期検診と同様に、検診は本人の自由意志によるもので、料金は無料です。(参照 Vårdguiden 1177 : Gynekologisk cellprovtagning

日本では、20歳以上の女性は2年に1回、子宮頸がん検診を受けることが推奨されています。

ワクチンの接種状況や死亡率なども考慮しなければならないでしょうが、この定期検診の頻度の差による悪影響はあるのでしょうか

ここで子宮頸がんについては深く追求しませんが、後日子宮頸がんの状況についても調べてみようかと思います。

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まとめ

以上、ピンクリボンとは何か、スウェーデンでどのような団体が乳がん啓発運動を行っているのか、スウェーデンでの乳がん検診についてご紹介しました。

ずるずると検診を後回しにされている方は、乳がんの早期発見・早期治療は重要なので、住んでいる市区町村のホームページなども確認して是非検診に。

今月は乳がん啓発月間ということで、この機会に乳がんについて知識を深めましょう!

本記事をお読みになっていただきありがとうございました。Tack och vi ses!

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